酒器の素材

酒器を素材で愉しむ

日本酒用のうつわ「酒器」は大きさや形、材質、デザインにより多彩な趣をみせてくれます。酒器の素材や形により、日本酒の香りや味わいにも変化があります。大人のお洒落な嗜みとして、奥深い酒器の世界を愉しみませんか。

マイ酒器を持って出かけたいお店

陶器と磁器の酒器

陶器と磁器の酒器

日本酒の味をやわらかく感じられる
表情豊かな酒器

日本酒をやわらかい味わいに感じさせてくれる陶器と磁器の酒器。フォルムや質感、色合いもシンプルなのものから、華やかな色絵、骨董のようなものなどバリエーションの豊さも魅力です。陶器は主な原料に陶土を使い、1100〜1300度で焼いたものです。磁器に比べて柔らかく吸水性がありますが、釉(うわぐすり)を施すため水を通すことはありません。陶器は熱伝導率が低いため、熱しにくく冷めにくいという特徴があります。磁器は主な原料に陶石を粉砕した石粉を使い1300度程度で焼いたものです。焼きが締まってガラス化しているため吸水性はほとんどありません。陶器に比べて硬く、熱伝導率が高く熱しやすく冷めやすいという特徴があります。

錫の酒器

錫の酒器

日本酒の味わいを
まろやかに変化させる
魔法の酒器

錫は毒性のない金属として世界中で昔から使われてきました。酸化しにくく、空気中や水中でも錆びないという優れた特性を持っています。錫のコップにいれた水は腐らない、錫製の花瓶の切り花は長持ちするといわれるように、優れた抗菌・浄化作用もあり、衛生的にもおすすめです。錫の酒器が酒の味わいをまろやかにするとされているのは、錫イオン作用で雑味が抜けて酒の味が整うことと、錫にはアルコールを醸造するときに生成される成分を溶かす作用があるからです。また、錫の酒器は陶器やガラスのように使い方や経年劣化で割れることがないので、一生ものとして使えるのも魅力のひとつです。

ガラスの酒器

ガラスの酒器

涼やかな質感が
絵画のように美しい酒器

ガラスの酒器は、日本酒の華やかな香りと軽やかな口あたりを引き立たせてくれます。目にも涼しいガラスの器は人の手でつくられた宝石のよう。手にもやさしく長く使い続けられる酒器です。切子は日本独自のカットガラスで、江戸切子と薩摩切子がよく知られています。江戸切子は色ガラス部分が薄く、透明ガラス部分とのコントラストがシャープで粋な印象があります。薩摩切子は色の濃いところから中面へいくにつれて段々と色彩が薄くなる独特な「ぼかし」があり、透明ガラスの上に色ガラスを被せた厚みのある重厚なガラスです。とろりとした質感が美しい津軽びいどろは、四季それぞれの情景を宿す器として数多くのバリエーションを展開しています。冬の日に、乳白色の津軽びいどろ酒器での日本酒も趣があります。

木製の酒器

木製の酒器

天然素材ならではの
香りと木のぬくもりを
感じる酒器

木製の酒器は肌触りの良さ、抜群の保湿力を活かした新しい酒器です。木目の風合いがそのまま表れているデザインは、自然が生み出す天然素材の模様。その温かみのある美しさは、まるでインテリアのように空間に溶け込み、食卓の雰囲気をおしゃれにしてくれます。また木製の酒器は熱伝導率が低いため、日本酒をゆったり飲んでいても、元の温度の状態を長く楽しめるのもポイント。冷たいものを入れても結露で手が濡れることもありません。また、ひのき製のものは香りも愉しむことができます。近年は環境問題の一因である森林伐採を抑制する有効な資源活用法も進み、環境にやさしい商品も多く作られています。

たのしい酒器

たのしい酒器

大勢で賑やかに。
歓迎の心からうまれた
宴席で楽しむ酒器

可杯(べくはい)とは座興用の杯のひとつです。おかめ杯は入る酒の量が一番少なく、酒が入ったままでも置くことができますが、ひょっとこ杯は口の部分に穴があいているため指で穴を塞がなければ酒がもれてしまいます。入る酒の量もおかめ杯より多く、飲み干すまで置くことができません。天狗杯は長い鼻のため下に置くことができません。入る酒の量も三つの中で一番多く入ります。可杯の遊び方は、何人かが輪になって座り、一人が三つの絵柄が描かれたコマをまわします。止まった時に軸が向いている方向に座っている人がコマの絵柄の可杯に酒をそそいで飲み干します。それを順番に繰り返していきます。可杯はかつて全国各地で用いられていましたが、現在は土佐を代表する酒文化となっています。

曲がるストロー